インフルエンザの症状がでたら、早めに医師の診断を受けるようにしましょう。ウイルスがのどや鼻の粘膜に広がり高熱が出てしまうと、根本的な治療は間に合わなくなり、かえって長期間、寝込むことになってしまうおそれがあります。
抗インフルエンザ薬は体内でインフルエンザウイルスの増殖を抑える薬で、病気の期間と症状の重さを軽減する効果が優れています。経口薬と吸入薬、点滴、小児用のドライシロップがあり、いずれも健康保険が適用されます。
インフルエンザウイルスは体の中で急激に増殖する特徴があり、適切な時期(症状が出てから48時間以内)に服用することが重要です。早期であればあるほど、体の中にかかえるウイルスの量が少ないので治療効果があがります。
特にハイリスク群(別ウィンドウで開きます)に当てはまる人は、ただちにかかりつけの医師か専門医に診てもらいましょう。
また、安静にして、特に、睡眠を十分にとることも大切です。水分を十分に補給しましょう。お茶、ジュース、スープなど、飲みたいもので結構です。
インフルエンザは個人の健康を損なうだけでなく、大流行により、仕事に支障がでたり、勉強が遅れたりするなど、社会的にも重大な影響をきたします。
積極的な予防と治療による効果には、さまざまな社会的メリットがあります。
社内での感染リスクを減らす効果があります。罹患者が無理をして出社すれば、かえって悪化して病欠日数が増えるばかりでなく、ウイルスを周囲に撒き散らすことで同僚へ感染が拡大し、企業全体が重大な経済損失を受けてしまうからです。
学級閉鎖などによる学習の遅れを最小限に防ぐことができます。特に、この時期、入試をひかえた受験生にとってインフルエンザは大敵です。
ワクチン接種や日常生活で予防することはもちろんですが、「万一、インフルエンザにかかってしまっても、すぐに医師の診断を受けることで症状を軽くできる」という情報を得ることで、精神的な安心感も得られます。
高齢者施設においては、インフルエンザの院内感染を防ぎ、重症化、死亡者を出さないことが、大きな社会的信用につながります。また、お世話をする方々の予防と治療も重要です。
地域全体での大流行を少しでも食い止めることができます。
乳幼児は成人より長期にわたってインフルエンザウイルスを排出するため、感染源になりやすいといわれています。
また、乳幼児はインフルエンザ特有の全身症状(頭痛、倦怠感、筋肉痛)が少なく、鼻汁、咳など普通のかぜと症状が似ていることがあり、判別が困難です。
重症化や脳症などの合併症を極力少なくするためにも、なるべく早く受診をしましょう。
インフルエンザには栄養をとって休むといった自家療法も必要です。
しかし、危険な症状を軽視したり、自己判断で危険な薬、効かない薬を飲んでいたりする人も少なくありませんので注意してください。
小児がアスピリンを含有した解熱剤やかぜ薬を服用すると「ライ症候群(急性脳症の一種で重篤な病気)」になる危険性があります。他の一部の解熱剤(ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸)にも脳症の状態を悪化させるものがあるので、解熱剤やかぜ薬の使い方は、医師・薬剤師に必ず相談しましょう。
乳幼児がお茶やジュースなどの水分をとった後、すぐに吐いて元気がなくなった、けいれんを起こしたなどのときは、すぐに受診してください。脳炎、脳症の合併症の可能性を考える必要があります。
抗生物質は細菌に効果のある薬ですが、インフルエンザウイルスには効きません。
ただし、特に高齢の方や体の弱っている方は、インフルエンザにかかることにより肺炎球菌などの細菌にも感染しやすくなっています。このため、細菌にもウイルスにも感染(混合感染)することによって起こる気管支炎、肺炎などの合併症に対する治療として、抗生物質などが使用されることがあります。
高熱や痛みに対してはかぜ薬・解熱鎮痛剤などが使われることがあります。ただし、これらは症状(熱、咳、鼻水など)を緩和させる対症治療であり、インフルエンザそのものを治しているわけではありません。
予防接種を受けることでインフルエンザにかかりにくくなり、かかっても重くならなくなります。しかし、流行した型が違う場合など、100%かからないわけではありませんから注意が必要です。
更新日:2021/5/13